散骨を検討するにあたって、知っておきたいことを紹介します

散骨を検討するにあたって、知っておきたいことを紹介します


亡くなった後は、お墓に納骨するのが一般的とされていますが、最近では好きな場所や思い出の場所に散骨して欲しいと考える方も増えています。初めての場合、どのように行えば良いのか分からないというケースもあるのではないでしょうか。この記事では、散骨を行える場所やマナー、注意点など知っておきたいことについて紹介します。

場所について

どのような場所で行えるのか、以下で見ていきましょう。

違法ではない

前提として「法律違反にならないの?」と考える方もいると思います。

散骨は違法では無く、禁止する規定は日本の法律にはありません。法務省は、節度を持って行えば遺骨遺棄罪には該当しないという見解を示しています。

法律上の制約は無いですが、その分遺族のマナーが求められていると言えるでしょう。

次からは、実際に行える場所を紹介していきます。

海(沖合など)

海は特定の所有者がいないため、基本的に自由に可能です。

しかし海水浴場や漁港付近など、避けた方が良い場所はあります。有名な観光地などの場合は風評被害になってしまうこともあるので、注意しましょう。

沿岸からなるべく離れた沖合で行うのが、おすすめの方法です。海水浴客や漁業に影響を及ぼさない場所まで行き、実施します。その際に船が必要になるので、業者に依頼することになります。

また、海と言っても「どの海でも良い」と考える方は少ないはずです。故人にとっての思い出の場所はどこか、その場所に船を出してくれる業者はいるかどうか、といった点を考慮する必要があります。

山(所有している場合)

自分で所有している山であれば、実施に問題はありません。

愛着がある土地に還ることができるのは、故人にとって大きな喜びと言えます。昔の日本で行われていた土葬のスタイルに近いので、希望する方は多いです。

許可を得ることができれば、親しい人の所有している山にで実施することも可能です。その場合は、謝礼を用意しておくと良いでしょう。

当然のことながら、他人の山に勝手に入ってはいけません。犯罪行為であり、警察に通報されて罪に問われる可能性もあります。

自分名義の山であっても他人の土地と隣接している場合は、注意が必要です。

自宅の敷地

自宅の敷地内であれば、基本的にどこでも問題はありませんが、近隣住民への配慮を忘れないようにしましょう。

時間帯や服装などに注意し、自治体のルールに則って行って下さい。また、自宅の土地の売却を考えている場合は、避けた方が賢明です。

海外の場合

海外旅行が好きだった方や、海外に住んでいたことがあるといった方が希望する傾向にあります。

遺骨を国外に運ぶための手続きは複雑で、事前に現地でのマナーやルールも把握しておく必要があります。

国内で行うよりも、ハードルが高くなることを考慮しておきましょう。

マナーについて

抑えておきたいマナーについて、以下で紹介します。

必ず粉骨する

遺骨を砕いて粉の状態にすることを、粉骨と言います。

粉骨をしないと、撒かれた遺骨が明らかに骨だと分かってしまうと、見つけたから「何かの事件ではないか」と疑念を持たれることもあるからです。

大切な人の遺骨を粉々に砕くことに、抵抗を感じる方もいると思います。そういった場合は、業者に依頼すると良いでしょう。

自分で行う場合は、2ミリ以下に粉くというルールがありますので、それに従って行って下さい。

散骨時は平服で

通常の葬儀であれば喪服を着るのがマナーですが、散骨に限って言うと向いていない格好と言えます。

例えば海に撒く場合、喪服を着て船に乗ると、周りの人は気づきます。そういった状況はあまり好ましくありません。少なからず、良くないイメージを持っている方もいます。

動きやすくて、肌の露出を少なくし平服で行くことをおすすめします。

自然に還る物を撒く

遺骨だけでなく、お供え物を撒きたいと考えている方もいることでしょう。

花を撒く際は、セロファンやリボンといった付属物は取って下さい。茎も自然に還りにくいので、花びらだけを撒くのがベストと言えます。

自然に還らない物を撒いてしまうと、環境汚染に繋がってしまうので、注意して下さい。

持ってきた物が撒けるかどうかは、事前に業者に確認しておくことが大切です。

自治体の条例に従う

前述した通り、散骨自体は法律で禁止されていません。

しかし、自治体によっては条例で禁止されている所もあります。北海道の長沼市と岩見沢市、埼玉県の秩父市では、原則禁止となっています。

違反すると6か月以下の懲役や、100万円以下の罰金が科されるケースもあるので注意です。

他にも、散骨場設置に関する規制を設けている自治体も多く、長野県諏訪市や、静岡県御殿場市などが該当します。

自分が住んでいる自治体の条例を、必ず事前に確認するようにしましょう。

流れや注意点について

一連の流れと、注意しておきたい点について紹介します。

流れ

最初に、粉骨処理を行うため遺骨が入った骨壺を業者に渡します。渡す方法は直接、郵送など様々です。

全ての遺骨を散骨する場合は。埋葬許可証を業者に提示します。お墓から遺骨の一部を取り出して行う場合は、改葬許可証が必要になります。埋葬許可証は火葬場で、改葬許可証は市区町村役場で発行されます。

その後、遺骨を業者に粉末化してもらい、散骨となります。

参加型と代行型

方法には、参加型と代行型の2種類があります。

参加型の場合は、業者と遺族が一緒に行うタイプです。

時間に合わせて遺族が集まり、目的地に移動します。海洋散骨の場合は船で移動し、目的地に着いたら、粉末状の遺骨を海に撒いて、その後に花などを投げ入れます。

黙とうを行い、最後に証明書が業者から発行され、遺族に渡して終了です。

参加型の相場は、大体20万円前後です。

代行型の場合は、遺骨を業者に渡し、一任するタイプです。

業者側が日程を決めて、実行します。複数の遺骨をまとめて行うケースが多いです。

例えば「FUROSHIKI」という業者では、年6回行われている同社主催のハワイで海洋散骨を代理で執り行っています。

終了後には散骨時の写真や、参加型と同様、証明書が遺族に郵送されます。

代行型の相場は、大体5万円前後です。

注意点

昔に比べれば知名度が上がりましたが、まだ認知度は高いといえません。

そのため、遺族が行いたいと思っていても、親戚からの同意や理解を得られないこともあるので注意が必要です。先祖代々続いてきたお墓に遺骨を入れないと言われると、違和感を抱く人も少なからずいます。

どうしても理解してもらうのが難しい場合は、専門業者から直接説明をしてもらうのが良いでしょう。遺族だけでは上手く説明できない部分も、分かりやすく伝えてくるはずです。

まとめ

散骨は法律で規制されていませんが、ルールやマナーはありますので、事前に把握しておくことが重要です。現在でも一般的なのはお墓への納骨で、散骨はまだメジャーな方法とは言えません。しかし時代の変化に伴って、行う人は増えています。将来的に散検討している方は、この記事で紹介したことを、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。